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【鷹巣町】JA青年部 伝統民族行事を受け継ぐ雪中田植え

2015.01.15

小正月にあたる15日、JA鷹巣町青年部(堀部靖部長)は北秋田市綴子に伝わる伝統行事であり、農家の一年の仕事始めの儀式として、その年の稲作の豊凶を占う「雪中田植え」を大太鼓の館前で行い、青年部員をはじめ、JAの役職員をはじめ地域の農家ら約50名が見守った。

雪中田植えは、六尺(約2m)の四角い雪の田んぼを作り、稲わらと豆がらを混ぜ束ねたものを稲の苗に見立てて4条ずつ16束を植えるもの。田植え後は虫除けや田の神様の目印となるすす払いのわらほうきを逆さに立てる習わし。2月1日に今日植えた稲を刈り取り、豊凶を占う。稲が直立していれば、実が入らない不稔、倒れていれば風水害による倒伏を意味するため、それぞれ凶作となる。雪の重みなどで、稲がたわわに実った稲穂のように適度に傾いていれば豊作、というお告げが出る。

米作りが盛んな綴子地区でも稲作の予祝もしくは豊凶を占う民族行事として農家に伝えられてきたが途絶え、昭和58年に農家の故高橋佐一郎さんが復活させた。昭和61年に高橋さんが亡くなり再び途絶えたが、昭和63年に農業後継者である旧綴子農協青年部が高橋さんの遺志を継ぎ「再復活」。現在はJA鷹巣町(佐藤清孝組合長)のJA青年部(堀部靖部長)が継承している。

堀部部長は「TPPや農協改革など農政の大転換期の中、この先農業を続けられるか不安もある。しかし、われわれ青年部が率先して地域のリーダとなり、安全でおいしい農産物を作り続け、明るい話題を提供したい」などとあいさつ。JAの斉藤一志常務は「JA青年部が地域の行事を継承していることを感謝したい。農業は厳しい環境下にあるが、皆で知恵を出し合い前進していきたい」と話した。

田植え人を引き受けた綴子上町で水稲と舞茸栽培を営む専業農家の奈良田大輔さん(33)が昔ながらの菅笠をかぶり、蓑を着て田植えを行い、お神酒や大根の煮付け、ナマス、デンブをお供えして、今年の豊作を祈願した。
田植え後、奈良田さんは「昨年の(あきたこまち過去最低)米価は非常に衝撃であり、消費税増、資材費高騰もありこの先の農業経営を思い悩むほどだった。今年は収量増とともに米価の上昇を願い、食に関わる農家が良くなるような明るい1年であってほしい」と思いを述べた。

(提供:JA鷹巣町)

雪田に苗を見立てた稲わらなどを植える奈良田さん
雪田に苗を見立てた稲わらなどを植える奈良田さん