JA秋田ふるさとは、稲作農家を対象に「お米通信簿」を配布している。品質診断結果表として、食味値を構成する成分割合である内部品質と玄米の整粒歩合や着色粒の混入率などの外観品質、総合品質の3項目をAからDで判りやすく評価。農家には、自身が生産した米の品質の判定になるとして好評である。通信簿には、美味しい米づくりのための改善ポイントも指示されている。
7年前から始まった「お米通信簿」は、米の品質向上の一翼を担っている。同JAは全国のJAでも珍しく、JAで独自の農産物分析センターを整備している。生産者には同施設で検査された結果が順次、毎月のメールにて配布される。
通信簿には、さらに詳しい測定結果についても記載されている。アミロースやタンパク質、食味値などの食味計測定結果と、整粒や着色粒、未熟粒などの穀粒判別器測定結果をレーダーチャートにして表示。JAの目標値も掲げ、品質向上を促している。
管内の2016年産米の内部品質は、アミロースにおいて粘り成分がやや増え、全体的に柔らか目の仕上がりとなった。食味値に大きく影響するタンパク含量の数値平均はやや減少し、食味値が上がっている。水分は13.9%とやや過乾燥気味だが、脂肪酸度は適正値であった。
また、外観品質について登熟は良好であったことにより、青未熟粒や被害粒は減少し、整粒歩合は向上した。一等米比率の低下要因の84%がカメムシによる着色粒混入の増加によるもの。個々の圃場内の雑草の残草程度や周辺の雑草の発生程度などにより、被害の個人差が極端に出ている結果となっていた。
小田原悦夫稲作専任指導員は「生産者からどうしたら食味や品質が向上するかなどの問い合わせも年々増え、通信簿が届くのを楽しみにしているようだ。この通信簿が全生産者のレベルアップにつながり、高品質でおいしい秋田ふるさと産米が消費地に届けられるよう努めていきたい」と話した。