JA秋田中央会斉藤一志会長は3月4日、秋田県議会柴田正敏議長へ2022年の水田活用直接支払交付金の見直しに関する要望書を手渡した。今後5年間に水張を行わない農地が交付対象から除外となることや、多年生作物に対する戦略助成の単価見直しによって、農地の維持が困難となって耕作放棄地の増加につながることなどを懸念。生産者が意欲を持って作付けを行い、将来にわたって安定的な営農・農地の維持が展望できるよう、現場の課題を十分検討した制度設計がなされるよう、次の3点に関し国へ意見書を提出するよう要望した。
4日、秋田県議会の柴田議長のもとを訪れた斉藤会長らは①交付金の対象水田から除外する見直しは、農業水利施設の管理が困難な圃(ほ)場等が、耕作放棄地となり、離農者の増加が懸念されることから、運用にあたっては、丁寧な説明を行うとともに、生産現場の実態や課題を十分に踏まえて進めること②農地及び集落を維持するため、大豆・そば・麦等の土地利用型作物の取り組みについては、生産者の所得が減少せず、意欲を持って生産活動に取り組めるよう、支援措置の継続を行うこと③畜産振興に向け、自給飼料確保に努力している生産者にとっては、この度の多年生作物(牧草)のあつかいは、唐突な見直しによる交付金の削減であり、耕畜連携による地域の営農継続の仕組みを崩壊させかねないことから、現場実態を十分把握した上で見直しをすること―の3点を求め、要望書を手渡した。
斉藤会長は「今回の国の見直しにより、農地の維持が困難になると耕作放棄地が増える原因と成り得る。転作については産地化を図りながら対策してきた経緯もあり、現地を見て、現場の課題を理解した上で検討してほしい。また、多年生作物については、粗飼料が足りないと言っている現状で畜産の振興につながるとは思えない」と強調。要請書を受け取った柴田議長は「将来を見通し、生産者が気概と展望を持てる農業である必要がある」と述べた。
また、同県農協青年部協議会の佐藤岳杜委員長は「後継者としても農村の現状を危惧し、自分たちでも何かできないか話し合っている。県やJA、生産者と一緒に考えていけたらと思う」と述べた。
今後県内各JAでは市町村あての要請を行っていく予定。
【秋田】水田活用交付金見直しについて県議会へ要望、現場の課題を踏まえた見直しを
2022.03.04